ゆなの視点

30過ぎに戸籍の性別を女性に変更しました。そんな私の目から見た、いろんなことについてお話しできたらと思っています。

日本共産党からの返信

(予め問い合わせのメールに返事は公開したいという旨を記しておりましたので、転載が認められているものと見做して以下に全文を公開致します。もし日本共産党の方で問題があるようでしたらご連絡下さい。私としては、明示的にトランスジェンダーの人権を支…

日本共産党への問い合わせ

昨日の笙野頼子氏による、既に話題になっている記事を受け、個人的に日本共産党へ問い合わせのメールを送りました。まだ特に回答等は頂いておりませんが、その内容を共有いたします。 〈以下、メールの引用〉 突然のご連絡失礼致します。私は「ゆな」という…

プライド

「トランスジェンダー・プライド」と言われても、ずっといまひとつピンと来ていなかった。「私は望んでこんなふうに生まれたわけではない」、「こんな体であることに誇りなんて持ってはいない」……、そんなふうに思っていた。「プライド? 誇れるひとはいいよ…

ボタン

洗濯物をたたみながら、ふとボタンのつけ外しに戸惑わなくなったことに気づく。服を着るときにも、脱いだそれを洗濯機に入れる前にも。私は、女性のそれに見えない自分の体が、ずっと嫌いだった。そしてその体で女性服を着て「女装者」のような見かけになる…

小説紹介 藤野千夜『夏の約束』(講談社文庫)

「軽さ」の重さを味わう 1999年下半期の芥川賞を受賞した藤野千夜さんの代表作。確か中学生くらいの頃に読んだことがあったはずですが、当時はあまりピンと来ておらず、すっかり忘れてしまっておりました。けれど少し前に同じ藤野さんの『少年と少女のポルカ…

すでに隣人である私からすでに隣人であるあなた達へ

差別的な言説の常として、トランス女性の「加害性」を語る人々の言葉には、私達の普段のリアルな姿が現れていないように見えます。それはちょうど、映画『ジョジョラビット』で、ユダヤ人への偏見に凝り固まった主人公が、「ユダヤ人ってどんな人?」と聞か…

社会的に構成された名をそれでも名乗ること

私が自分の女性という性別にこだわり、さらにトランスでもあるということを語るとき、ときにリベラルな人々、とりわけ多いのはシスヘテロ男性に、「性差などは社会的に構成されたもので、実在物ではないのだから、それをあえて語る必要はないのではないか」…

小説紹介 遍柳一『平浦ファミリズム』(ガガガ文庫)

今まで見たことのない「リアルじゃない」トランス女性 久しぶりに、小説の紹介をさせてください。ご紹介したいのは、これ。平浦ファミリズム (ガガガ文庫)作者:遍柳一発売日: 2017/07/28メディア: Kindle版遍柳一さんの『平浦ファミリズム』です。ガガガ文庫…

「みんな」になれない「私たち」、あるいは私

新型コロナウィルスの感染拡大から、いろいろなことが起こっている。少なからぬ人々が在宅勤務へと業務形態を変え(もちろんそうできない職種のひともいるが)、必要なものを買いに出るときにはマスクを欠かさず、そして新たな感染者の数の推移を見守ったり…

千田氏の応答に対して

「女」の境界線を引き直す意味-『現代思想』論文の誤読の要約が流通している件について|千田有紀|note「虚偽」という言い方は「誤読」と変更してくださったみたいです。ありがとうございます。迷ったのですが、「虚偽の要約」とまで言われて黙っていると…

千田有紀「「女」の境界線を引きなおす:「ターフ」をめぐる対立を超えて」(『現代思想3月臨時増刊号 総特集フェミニズムの現在』)を読んで

(査読のない商業誌である『現代思想』に掲載されるのは「論文」ではなく「論考」だろうというご意見をいただきました。こういう文章をどう呼ぶべきかわからず「論文」と書いてしまいましたが、そのために誤った印象を与えてしまったかもしれません。申し訳…

小説紹介Meredith Russo『If I Was Your Girl』

トランスの女の子が主人公のヤングアダルト小説! Russoさんのとても評判の良い小説『If I Was Your Girl』をご紹介します。If I Was Your Girl作者: Meredith Russo出版社/メーカー: Usborne Publishing Ltd発売日: 2016/06/01メディア: ペーパーバックこの…

映画紹介『彼らが本気で編むときは、』

「母性」あふれる、「女らしい」トランス女性はステレオタイプ的? 彼らが本気で編むときは、 | J Storm OFFICIAL SITE荻上直子監督作の『彼らが本気で編むときは、』は、公開前から話題になっていた映画でした。『かもめ食堂』などで評判となった荻上監督の…

小説紹介『Hopeless Romantic』

出会いはアウフヘーベンのきっかけ カナダの作家Francis Gideonさんによる小説。作者さんはノンバイナリーのひとのようです。 https://www.amazon.co.jp/Hopeless-Romantic-Francis-Gideon/dp/1626495572絶版になったのかめちゃくちゃプレミアが付いていて、…

GIDの診断とそれ以後の流れ

GIDの診断、ホルモン治療、性別適合手術、戸籍変更の裁判……。この一連の流れや必要な手続きのことって、意外と知られていないかもしれません。私のときがどんな感じだったのか、当時を思い出しつつまとめてみました。

ゲーム紹介『one night, hot springs』、『last day of spring』

トランス女性が日常的に突きつけられる選択の追体験 npckcさん(Twitterアカウント: kc (@npckc) on Twitter)が制作したゲームです。下のリンク先からダウンロードをすることができて、無料で遊ぶこともできますが、npckcさんをサポートすることもできます…

声の性別イメージを判定するプログラム

声のことって悩みますよね…… こんにちは。トランス女子のみなさんは、やっぱり声に悩んでいらっしゃいますか? 意外と私が実際にお会いしたことのあるかたは、もう聞くからに自然な声で、そこまで気にする必要もなさそうなひとが多いのですが、私自身はすっ…

漫画紹介 たかせうみ『カノジョになりたい君と僕』

女の子として生きたい子とそんな彼女に恋をする女の子 たかせうみさんの漫画『カノジョになりたい君と僕』は、GAMMA! というサイトで連載されているウェブ漫画。まだ連載中です。 https://ganma.jp/kanoboku現在書籍版も二巻まで発売されています。カノジョ…

映画紹介『Girl』(2018)

バレエダンサーを目指すトランスの少女の物語 ルーカス・ドン監督作、オランダとベルギーの合作。 映画「Girl/ガール」公式サイト 2019年7/5公開 日本では2019年に公開され、この記事を書いている現在もわずかながら公開中の映画館があります。 第71回カン…

ご挨拶

北村先生のご著書に私が覚えた違和感について、多くのリアクションをいただきました。特に当事者の方からの共感の声や、非当事者の方からの「こんなふうに感じていたなんて初めて知った」といった声に、どう語ったらいいのか自分でもわからないままにがんば…

北村先生の応答を受けて

今朝方に通知が来まして、北村先生が先日の記事に言及しながらブログ上で応答してくださったそうです。https://saebou.hatenablog.com/entry/2019/07/16/075455まず、私がほんの少し前に書いたたったひとつのブログ記事に気づき、それを読み、さらにはそれに…

あるトランス女性が見た北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』

北村紗衣先生による映画評論『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』が、書肆侃侃房さんより出版され、小規模な出版社から出たアカデミックな身分の著者(北村先生は、私自身は拝読したことがないのですがすでにシェイクスピアに関する単著も出されている、シェ…